伝える時のポイント -その 2/3-
前回はちょっとしたことで、職場のコミュニケーションで関係を悪化させてしまうリスクについて、その背景を紹介いたしました。
今日は「言うべきこと、言わなきゃ」ってことがあるけど、こんな場面どうしたらいいのか?
事例を挙げて考えてみたいと思います。
【ケーススタディー】その1
入社1年目のAさんは、まじめで仕事を一人でかかえがち。頼んでいた資料が期限を
過ぎても連絡がありません。
・このような状況が初めて起きた時、さて、 あなたならどうしますか? どのタイミングで、何を、どう伝えますか?
このようなケースは日常ふつうに良くありますよね。初めて起きた時なので、皆さんも冷静に対応出来るのでは無いでしょうか。
このような場合、例えば、
・Aさんに「何か困っていることがある?」「手伝えることがあったら、一緒にやりましょうか?」
・「何か進めにくいことがあるの? 教えてもらえる?」
事が起きた時点で、Aさんと落ち着いて話が出来ると思います。そして、話し合う事で、次の期限を守り、資料が出てくれば、問題は解決していくと思います。
しかし、ここからが、面倒で厄介なケースになります。
次の「その2」のケースです。
【ケーススタディー】その2
「次回は早めに相談してね」と伝えたのに、やっぱり締め切りになっても出来ていない、連絡もきません。
・このような状況が3回続いています。さて、どうしましょうか?
このケースの場合、多くの人は内心「またか・・・#$%&!”」となるかも。ここからは、人によって対応が変わってくるケースです。
●怒りっぽい人の場合
「何で出来ていないの? 連絡もないじゃない! これで3度目だよね!!! やるって言ったよね・・・」
イライラが限界になって、このように説教や説得モードに入りますよね。
●我慢する人の場合
(言っても仕方がないか・・・、自分で何とかしよう・・・)
と自分の中で処理して、我慢できる間は我慢を続けてしまう。
●ネチネチの場合
・「あれっ、頼んでいた件、期限って、いつまでだっけ?・・・」
「誰かさんは気楽でいいよな・・・ マイペースで・・・」
と、ハッキリとは言わないけれど、チクっと言ったり、態度で不快感や嫌味を伝える。
または、
・面と向かってでは無く、メールで関係者全員をCcに入れて、「約束の期限が過ぎています。本日中に報告下さい!」
と、全員を巻き込んで、相手を窮地に追い込む。
【ケーススタディー】その3
さすがに我慢できずに厳しく注意をしてしまいました。その後、Aさんは自分の前で委縮してしまう。何となく気まずい雰囲気になってしまった。
・お互い気持ち悪さを感じてしまっています。話しづらい。さて、あなたならどうしますか?
上記の「その2」までであれば、修復も可能であったかも知れません。
しかし、今回のケースまで来ると、お互いの間にピリピリした空気感が出来てしまい、言いたいこと
が言いづらくなってしまいます。
多くの人が、ここまで来ると対応がまちまちで、答えの無い世界になってくると思います。いくつか思いつく対応を挙げています。
・面談をして、信頼関係の修復を目指す人(少数派)
・接触を避けて放置する人
・時間を置くしかないと考えて、あたりさわり
無く接する人
その人ごとの経験値にもとづいて、手探りでやっていると思います。
ここで、今回の「その1」から「その3」までで、何が起きているのか?少しほぐしてみたいと思います。
その1の場合:「資料が出来ていない」
「約束の期限が過ぎた」
「報告が無い」
これらの問題が初めて起きた時、
まずは「出来事や事実」として
捉える事が出来ます。
その2の場合:はじめて問題が起きた時とは違い、
「繰り返し」起きているケースで、
その1の「出来事や事実」の問題
から質が変わって来ていることに
気づく必要があります。
問題の本質が、もっと違うことに
あるのか(信頼関係やAさんの言い
づらい弱みなど)そこに焦点をあて
ていけると良いかも知れません。
その3の場合:その2のケースで我慢できずに
感情のスイッチが入ってしまい
お互いの信頼関係にヒビが入って
しまった時です。
その1の単純な「出来事」の問題
から、すでに難しい「人間関係」
の問題になってしまいました。
このように対応を間違うと、最初は些細な出来事の問題が、修復困難な人間関係の問題に発展してしまうことが分かると思います。
今回を事例を挙げて、コミュニケーションが難しいと思う場面を紹介しました。
「あるある」と思われた方も、見えるのではないでしょうか。嫌な場面が思い返されて、疲れて
しまった人も見えると思います。
今回は、ここで一回区切りを入れたいと思います。
次回は、じゃー、どうしたらいいのか?何を指針に対応したらいいのか?
正解がない人間関係の問題ですので、一つの考え方、指針やポイントをお伝えしていきたいと思います。
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